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世界から猫が消えたなら [本]

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    世界から猫が消えたなら
      川村 元気  小学館文庫


先日、全国書店員が選ぶ小学館文庫第3位!にフッと視線が止まり買ってしまいました。

去年映画化されているということも小説を読んだ後に知ったのですが、佐藤健さんが主役なのでストーリーはご存知の方も多いのでしょうね。

小説を読んだら映画は見ないようにしているので、映画化のこと知らなくてしかも文庫本になった今この小説を読めてよかったと思っています。

いつもの感想文と同じくあまりストーリーは詳しくは記さないのですが、脳腫瘍で余命宣告された主人公が突然現れた悪魔から「世界中から何かを消していけばその代わりに一日だけ命を得ることができる」と言われ、一日、二日、と実行していきます。

それでたどり着いた思いとは…

小学館文庫さんに許してもらうとして、何度も何度も読み返したページをここに記させていただきます。

人は自分の死を自覚したときから、生きる希望と死への折り合いをゆるやかにつけていくだけなんだ。たくさんの些細な後悔や、叶えられなかった夢を思い出しながら。
-途中省略- 
僕がこの世界から何かを消すことはもうない。
もしかして死ぬ瞬間に後悔するのかもしれない。やっぱり猫でも何でも消して、生き延びればよかったんじゃないかって。でも、それでも僕はいいと思う。どうせ後悔だらけの人生だ。
自分らしく生きるはずが、生きられなかった人生。
自分らしさすら、見つけることができなかった人生。
無数の失敗や後悔、叶えられなかった夢、会いたかった人、食べたかったものや行きたかった場所。とにかくそんなものをたくさん抱えながら僕は死んでいく。でもそれでいいんだ。僕は今の自分でよかった。ここではないどこかではなく、ここにいてよかったと今は思える。


今の年齢だからこそ、静かに納得できる文章なのだと思っています。
、、
作者の川村元気さんはまだ40歳前の映画プロデューサーであり小説家であり絵本作家でもある多才な方です。




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